今日はクリスマス。
日本では、クリスマス・イブが盛り上がりのピークで、クリスマス当日の12月25日はなんだか「宴の後」のようになってしまいますね。
でも、クリスマスの本番は12月25日。
この日、世界中のクリスチャンたちが、イエス・キリストの生誕を祝います。
今日は、ドイツのクリスマスについて書こうと思います。
もうずいぶん昔ですが、クリスマスをドイツで過ごしたことがあります。
私が滞在していた地域では、10月頃から青空を見る日が次第に減っていき、それでも黄葉があるうちはよいのですが、木の葉も散ってしまうと、いよいよ目に映る風景は色彩の乏しいグレーの世界になってしまいます。おまけに日が落ちるのも早くなるし、寒くなるし・・・気分もどんよりしてしまいます。
そんな時、世界をぱあっと変えてくれることが起こります。
それは、「クリスマス」です!
クリスマスの4週間前になるとアドベント(待降節)が始まります。
文字通り「イエス・キリスト降臨の祝祭日、クリスマスを待つ」期間です。
アドベントに欠かせないものとして、4本のキャンドルをリースで飾った「アドベントクランツ」というものがあるのですが、日曜日ごとに1本ずつ火を灯してクリスマスを待ちます。
また、アドベントが始まる頃から、家々の庭先に電飾で飾ったモミの木が登場します。そして、室内にはイエス・キリスト生誕の場面をあらわした人形(クリッペ)が飾られます。
町にはクリスマスの市が立ち、ツリーのオーナメントやキャンドル、クリッペ、そしてクリスマスのお菓子、スパイスの香り漂うレープクーヘンやシュトレン(シュトーレン)などが並び、人々で賑わいます。
大きな町では毎日、小さな町でも週末の決まった日に市が立ちます。
そして、たいていどこの町でもドイツの名物・ソーセージをはさんだパンや、スパイスを入れたホットワイン(グリューヴァイン)が売られ、寒さなんて吹き飛んでしまいます!
アドベントに食べるお菓子もあって、私も下宿先のご家族に招待されてクッキーとお茶をいただきました。
それは三日月の形をしたクッキーとジンジャーのクッキーで、手作りの美味しいクッキーでした。なぜ三日月の形なのか・・・何か理由があったと思うのですが、忘れてしまいました。
日曜日の午後には、こうして家族みんなが集まってお茶の時間を楽しむのだそうです。とてもあたたかな雰囲気だったことを覚えています。
また、この時季、教会では賛美歌のコンサートなども開かれます。
大聖堂のひんやりと澄んだ空気の中に響く音は本当に清らかで美しく、聴く者は厳かな、それでいてあたたかい心持ちになります。
そんなふうにしてアドベントの時期を過ごし、いよいよクリスマスの日がやってきます。
24日の午後にはお店も閉まり、賑わっていた町が急に静かになります。
人々は家路につき、夕べには家族で食卓を囲みます。
夜も深まると教会の鐘が鳴り響き、それを合図に町の人々はクリスマス・ミサに出かけます。
私も連れて行ってもらったのですが、皆静かに祈りを捧げ、牧師様のお話を聞いています。(その内容の半分もわかりませんでしたけれども)改めて「ああ、クリスマスってキリスト教の大切な行事なんだなあ」と実感したものです。
そして25日、朝起きると、シュトレンが届けられていました。
下宿先のマダムお手製で、日本に帰国してからいろいろなお店のシュトレンを食べましたが、あれほど美味しい味には未だ出会えていません。
・・・あれから20年近くが経ち、私もすっかり「ジャパニーズ・クリスマス」になじんでしまいましたが、今再び「クリスマスってキリスト教の大切な行事なんだな」ということを思い出しました。
そういうわけで今日は、聖なる日にちなんで、純潔の象徴「白ゆり」をモチーフにした池畑香華さんのイラストをご紹介します。
◆純潔の白ゆり イラスト◆
【サイズ(ピクセル)】2894 × 4093 px
【ファイルサイズ】264 KB
【作者】池畑香華